甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》
「ねぇ…ひとつ聞いてもいい?」
「いくつでも」
「…あっさり淡白な壱さんって…どなたかな?」
1分が延長戦に入ったことを心の中で喜びつつ
「どなただろうな?」
紫乃との言葉遊びに興じる。
「私の知ってる壱っていう人は…」
「人は?」
「淡白の対義語は…濃厚?」
「うん」
「…そういう…」
「赤くなるだけじゃわからないな」
「って…どこ触って…こういう人ですっ、こういう人っ」
「うん?」
ペールブルーのカットソーの上から紫乃の豊かな胸をそっと揉むと、耳まで真っ赤な彼女が俺の手をペシペシと叩く。
「いてっ」
「うそ」
「紫乃が好き」
「…うん…でも手は退けようか…」
「紫乃を丁寧に愛したいだろ?だからあっさりなんて終わらない」
「…終わらないだけじゃないけど…ね…」
「最初から全力で愛でるからな、俺…紫乃だけを」
恥ずかしそうにうつむいた紫乃の頬に手を添え上を向かせると
「紫乃…紫乃を愛してる。紫乃だけを愛してるよ」
俺だけを映す瞳を見つめて伝えると、甘く…濃厚に口づけた。