甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》





「紫乃…もやしのレシピが尽きないな」
「毎日で飽きた?」
「毎日一品だから飽きない。このスープで5種類目だろ?すごいと思う」
「壱、誉め上手やね」

もやし炒め、焼きそば、中華サラダ、ナムル、そしてスープ。

「あとは、チャンプルぐらいかな?」
「明日は夕食いらないぞ」
「うん。壱はまこちゃんと銀座で、私は真麻ちゃんと食事だね」

誠が銀座のお姉さまと呼ぶ、銀座最高級クラブのママ。誠の紹介でそのクラブのホームページや各SNSの監修を俺がした。もちろん現在も定期的なメンテナンスを入れる顧客だ。年に一度、礼を兼ねて飲みに行くのが恒例だ。誠の店の客でもあるから、誠はもう少し行っているらしいが。

「あっ…真麻ちゃんから電話…」

二人で片付け始めた時、紫乃が着信音に応える。

「はい、真麻ちゃん。紫乃です」

紫乃だとわかっているだろうと思うが、そこも可愛らしい。

「うん…ホストクラブ…ってまこちゃんの?」

おいおい、真麻…まさか明日紫乃を連れて行くのか?

「行ったことないよ」
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