甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》
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俺はこのところ以前にも増して忙しい。仕事ではなく紫乃だ。

雪乃が生まれたことによって毎日新しい紫乃が見られる。今も、寝返りをするようになった雪乃と頭をつき合わせ、雪乃がうつ伏せになれば紫乃も

「ころーん、できたぁ。雪乃、お揃いだねぇ」

うつ伏せで顔を上げて無敵の微笑みを雪乃に向ける。俺はそのうつ伏せで無敵の微笑みを見せる紫乃を眼球録画するのだが、最近分類分けをして保存しているので少々忙しい。俺の紫乃バージョンと俺の紫乃が母バージョンに整理整頓して脳内区分するようになったのだ。

「雪乃、もう寝る?午後のお昼寝タイムだねぇ」

そのまま寝ても問題ないふわふわのマット上に小さなコットンブランケットを敷いた紫乃が、雪乃をその上へ移動させ自分も隣に横になる。

「おやすみ…ねんねだよ」

そう言って雪乃を優しくとんとんする紫乃を見て、俺は作業中のパソコンを放置しタオルケットを持って紫乃の隣に横になる。そして

「紫乃も昼寝タイムだ」

紫乃にタオルケットを掛けて同じ調子でとんとんし始めた。

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