甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》
fighting mode*戦闘モード
女は、何でも屋…正確には、元何でも屋の大垣誠に任せておけばいい。紫乃の前では指示できなかったが、自宅から誠に連絡を入れるとご機嫌に引き受けてくれた。この制裁には数ヶ月かかるかもしれないが絶対にうまく行く。
そして男は俺が会社を確認して…しっかりとした会社であればあるほど簡単だ。これか…小さいが親会社がしっかりしているな。買い物の荷物には手をつけず、慎重に会社を調べる。これなら電話一本でいけるんじゃないか?
紫乃の使っていたスマホから新しいスマホへは、あの二人を除いて電話帳等を移してやった。そして、精神衛生上良くないからと預かったスマホで男の名前を確認する。水戸征二か…ピンポーン…部屋のインターホンが鳴り自分のスマホを確認すると
‘部屋の前’
誠からメッセージが入る。ドアを半分開けるだけで滑り込んで来た誠は
「面白いことに首突っ込んでんのな?壱」
とアイドル顔を俺に向ける。
「遊びじゃなく真剣に苛立って、真剣に紫乃のことを考えてる」
「わかるよ。このシングルの部屋取ってるところ見たらね。紫乃ちゃんの部屋の鍵ちょうだい」
「ん、預かってる。持ってきて欲しいのはあの2点だけだと」
「了解。あとは…壱のご依頼を遂行します」
ふざけて恭しくお辞儀する誠の頭を叩いて
「さっさと行け…あ、待て」
「えーひでぇ…何?」
「これ見て」
男の会社の概要を見せる。
「電話一本でいけると思うんだが…誠はどう思う?」
「いけるでしょ?ここなら営業の車もスマホもGPSついてるんじゃない?」
「だよな?」
「処分が軽くて壱の気が済まなきゃ、もう一段ギア上げればいいでしょ?」
「こえぇー」
「お前だよ…ったく、まあ…そっちも必要なら手伝うよ。じゃあ進捗報告はする」
「頼む」