義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~
5.愛の強さ



輝くような毎日が始まった。
丞一と気持ちを伝え合い身体を重ね、恋人同士になれた。すべてが喜びに満ち、日々が幸福に彩られていた。

丞一はやはり忙しかったけれど、その分ふたりで過ごす時間は甘く優しかった。義兄としての彼が冷たく見えたのは溢れる想いを抑え込んでいたからなのだろう。結ばれた今、それがよくわかる。愛される幸せを私は毎日味わっている。

「ぼたん」

同居から二ヶ月半、交際からひと月のこの日、待ち合わせのカフェに丞一は先に着ていた。お互い早く帰れそうだからデートをしようと約束したのは今朝。家に帰ってじっくり愛を確認し合うのも幸福だけど、こういう普通の男女のようなデートもやはり嬉しい。

「お兄ちゃん、お疲れ様」
「また“お兄ちゃん”か。名前で呼べと言っているだろう」
「子ども頃からお兄ちゃんって呼んでるんだから、急には無理!」

私は注文してきたカフェオレを手に席につく。丞一がにやっと笑って、身を乗り出してくる。なんだろうと顔を寄せれば耳元でささやかれた。

「じゃあ、今夜、しながら名前をたくさん呼んでくれ」
「お兄ちゃん!」

瞬時に頬が熱くなる。私は丞一の顔を押しのけ、椅子に座りなおした。
両想いに浮かれているのは私だけじゃない。この人もしっかり浮かれている。積年の想いを実らせたのはどちらも同じだもの。
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