キッチンでお粥を作りながら、〝夏樹が運んだ〟と知った時の、雛ちゃんの表情を思い返す。

明らかに動揺した雛ちゃんの姿が意外だった。

雛ちゃん、あんな顔するんだ…。

「中川先生、起きたの?」

近所のジムに行って、汗まみれになった身体をシャワーで流してきた夏樹が、首にタオルをかけて鍋の中を覗いた。

「うん。でもまだ熱は下がってないから、今日は泊まっていくように言ったわ」

「それがいいと思う」

夏樹はそう答えて、私の後ろの冷蔵庫から牛乳を取り出してグラスに注いだ。

お粥にとろみをつけるため、コンロの火を弱火にして、牛乳を飲む夏樹を見る。

「…何?」

困惑した表情で、私を見る夏樹。

「…夏樹って、雛ちゃんの事、本当になんとも思ってないの?」

「…ブッ…あっぶね。牛乳噴き出すところだった」

夏樹は、首にかけたタオルで口元を拭き、グラスに残った牛乳を一気に口に入れて飲み込んで、グラスをシンクに置いた。

「思ってない。仲良い同僚…うーん…後輩?」

「そう…。じゃあさ…雛ちゃんが、夏樹の背中で泣いた時、どう思った?」