独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
ある夫婦の問題点
あと十日で、結婚一周年の記念日が訪れる。

この特別な日の夜に、夫に打ち明けたいことがある。



神谷瑠衣(かみやるい)と夫の神谷晴臣(かみやはるおみ)は一年前に入籍した。

百以上続く老舗料亭【前村屋】と名門【神谷ホテルグループ】の繋がりを深め業績を上げる為の政略的な意味合いを含むお見合い結婚。

両家の祖父が友人同士というのもあり、とんとん拍子に話が進んだ。

瑠衣は出会って間もないよく知らない相手との結婚に抵抗があり、見合いの席に行くまではとても気が重かった。

上手く断り尚且つ家業に影響が出ない方法はないものかと悩んでいた程に。

だけど、いざ対面すると、そんな気持ちは呆気なく一変した。

一目で心惹かれたのだ。

晴臣の背筋をぴんと伸ばして座っている姿勢は美しく、醸し出す雰囲気は怜悧で隙がない。

羨ましいくらい艶やかな黒髪は清潔感のあるミディアムスタイルで、端正な顔立ちにとてもよく似あっている。
長身ですっきりしたスタイルに、洗練された立ち振る舞い。
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