独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで

ところが現実はそう甘いものではなく、夫婦仲が穏やかだったのは結婚半年のみ。

その後、何がきっかけだったのかは今でも不明だけれど、晴臣の態度が変化した。

お見合いのときからの大人で紳士的な態度は変わらないものの、晴臣は瑠衣との間に確実に距離を置こうとしている。

もう半年間も夫婦生活が無いのがその証拠だ。

このままではいけないと焦り、何度か話し合いを持ち掛けようとした。
何か無神経なことをしていたのだとしたらきちんと謝って和解したいと思って。

でも彼は何も怒っていないと言う。むしろ『瑠衣に不満はないの?』と質問を返された。

そこでストレートにセックスレスが不安で不満です。と、言えたらかったのだろうが言葉に詰まってしまって何も言い出せず。
不甲斐ない自分が情けなくて、その日は結構凹んでしまった。

それでも彼が怒っている訳ではないようなので、後日気を取り直してさり気なくベッドに誘ってみた。しかし毎回上手く躱される。

大層モテた独身時代を送っていたであろう晴臣にとって、結婚前に付き合った相手はひとりと言う恋愛経験の少ない瑠衣をあしらうなんて、簡単なことなのだろう。

結局関係改善には至らず、瑠衣と晴臣は新婚だというのにセックスレス夫婦。
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