独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで

空いている席に座り、アルコールをオーダーする。那々は店内の雰囲気も思った通りだと満足そうだ。




「仕事は当然大事だけど、癒しも欲しいよね。最近パートナーが必要としみじみ感じる」

「気になってる人はいないの?」

「それが全然。瑠衣みたいなお見合いの話もないし」

お酒のお代わりをしながら、那々の恋バナや仕事の愚痴などをストレス発散とばかりに話していると、沈みがちな気持ちが楽になっていく。

時間を忘れて盛り上がっていたとき、瑠衣たちのテーブルに誰かが近づいて来た。

視線を遣った瑠衣は、その人物を見て衝撃を受けた。楽しかった気持ちがたちまち吹き飛ぶ。

(うそ……どうしてこんなところに?)

目の前で立ち止まった男性は、嫌な記憶の代名詞と言えるような存在だ。
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