愛され聖女は片恋を厭う(宝玉九姫の生存遊戯1)
27 戦いの果てに…

「どうやら『妹』の危機に(あわ)て、兵も連れずお一人で駆けつけたご様子。それで、この人数を相手にできると?」
 余裕の表情でそう言うと、アーベントは呆然(ぼうぜん)と立ち()くしたままの男達に向け、声を上げる。

「お前達!その男を()れ!この女でなければ殺せるのだろう!? 」
 その声に、男達ははっと正気に返り、武器を手にウィレスに向かっていく。ウィレスは素早(すばや)く剣を(かま)えた。

「お兄様っ!」
 シャーリィは悲鳴を上げ、光の宝玉を(にぎ)()める。
「やめて!攻撃(こうげき)しないで!」
 宝玉から何度も黄金の光が放たれる。だが、男達の攻撃は止まるどころか、ますます(はげ)しくなるばかりだ。
 
 シャーリィはすぐに気づいた。
「ウィレスを傷つけないで」と、いくら(たの)んだところで、男達は『自分が好意を持つ女性』から大切に想われている男に対し、嫉妬(しっと)(おぼ)えるだけ。逆効果にしかならない。シャーリィ自身が(おそ)われている時とはわけが違うのだ。

 低レベルな魅了の力では、相手を『意のまま』に動かすことなどできない。だが、相手の行動を(あやつ)れるほどの力を引き出すとなれば……。
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