ずっと夢見ていた。

 白馬に乗った王子さま。
 手の甲への優しい口づけ。
 ステンドグラスの明かりとパイプオルガンの奏でる荘厳な調べ。

 フラワーシャワーと笑顔の祝福のなか、愛する人と見つめ合い、手と手を取り合って……

 ――だなんて。

 今ではもうわかっている。

 いつまでもそんなふうに夢見る少女のままではいられない。

 おとぎ話は所詮ただの作り話で、本をパタンと閉じた途端あっけなく現実に引き戻されてしまうのだ。

 だったら今、この一夜の夢を私の物語にしっかりと刻みつけておこう。

 この先どんなに辛くても、ほんの時折そのページを開いて見れば、ひとときの夢に浸ることができるから。

 素敵な思い出をありがとう。
 
 そして、さようなら……