夢見るだけじゃ終われない 〜恋と令嬢とカクテルと〜

 胸を、そして誰にも見せたことのない秘密の部分までが彼の指と舌で(ひら)かれていく。

 じっくりと時間をかけて丹念に、トロトロに(とろ)けさせられ乱される。

 恥ずかしい。
 けれど与えられる快感の魅力には(あらが)えない。

 身体の奥から波が来て、あっという間に飲み込まれた。

 私は背中を弓なりに反らすと、喉を(さら)して嬌声(きょうせい)をあげた。

「茉莉、()れるよ」
 ぐったりしている私を悠が貫く。
 
「あっ……ああっ!」

 熱くて痛くて苦しくて……けれど彼とひとつになれた喜びが(まさ)る。

 最初はゆっくりと、そして徐々にスピードを上げて揺さぶられ、2人同時に腰を震わせた。

 きつく抱きしめられて、汗ばんだ肌がピタリと重なる。

 ――ああ、悠でよかったな……

 同情でも()きずりでも構わない。はじめてが悠でよかったと心から思う。

「悠、ありがとう……」
 彼が私の髪をかきあげ額に優しくキスしてくれた。

「茉莉、好きだよ……」

 遠くでそう聞こえたような気がしたけれど……それはきっと夢だったに違いない。
 
 はじめての経験に疲労困憊だった私は、あっという間に意識を手放してしまったのだから。
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