親にも妹にも婚約者にも夫にも恵まれなかった私ですが、公爵家令息に溺愛されて幸せになるようですよ?
17 幸せの青い鳥(終)


 私とチェレスティーロは、結婚することになりました。

 最初に問題になったのは、チェレスティーロの身分です。
 平民と貴族では結婚することができないので、一度チェレスティーロをどこかの家の養子に入れないといけません。

「それなら私の家に」
「遠慮します」

 食いつくように申し出てきたハジラッティ=ダメ=ナイトリー第二王女に、私よりも先にチルチルがお断りを入れました。

「その辺の適当な平民を王子にしようとしないでください」
「ミッチェーロの父は隣国のブルーバード子爵家の四男なのよ? ひいお祖父様は貴族だったのだから、適当ではないでしょう。幸運の青い髪で縁起も良いし」
「え?」

 初めて聞く情報に、私もチルチルも目をパチパチと瞬きます。
 ミチル爺ちゃん、聞いてないよ!?
 そうして驚いている間に、養子になるサインをさせられそうになったので、私達は慌ててその場から逃げ去りました。

 後日、ハジラッティ第二王女から、「絶対に王家の力で贖罪してみせる……」という呪いの手紙が届きました。
 彼女はいい人なんですけれども、ちょっと思い込みが激しい方なんですよね。
 元第二王子も元第三王子も罰を受けているのだし、そろそろ私への罪悪感は忘れてほしいものです。


「じゃあ、うちの養子になるのはどう?」
「え?」
「青い髪だし縁起がいいわ」
「青い髪、人気者ね!?」

 友人のジャクリーン=ジョウシキー公爵令嬢の申出に、私は目を白黒させます。
 チェレスティーロが、ジョウシキー公爵家の養子に?

「わ、私より身分が高くなる……!」
「いいじゃないの。元平民で侯爵代理をやるなら、そのくらい箔をつけておいた方がいいわ。ねえ、チルチル」

 そう言ってチェレスティーロを下から覗き込むジャクリーンに、私は慌てます。

「ちょっと、チルチルは私のよ。そんなに近寄っちゃだめ!」
「ふふ、私のお義兄様になるんだもの。いいわよね?」

 ジャクリーンにとん、と胸を小突かれて、チルチルは困ったような顔で微笑んでいます。
 私はむむむむ、と未だかつてない気持ちで胸をいっぱいにしながら、チルチルの腕にしがみついてジャクリーンを威嚇しました。
 そんな私を見た二人は、けらけらと笑っています。


 そんなこんなで、チェレスティーロはジョウシキー公爵家の養子となりました。

 そう、チルチルは公爵家の令息になってしまったのです!


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