交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
子どもと描く未来


波乱の就任式からおよそ七カ月が過ぎ、暦は七月中旬。例年より少し早く梅雨が明け、容赦のない太陽が注ぐ真夏となった。

結愛の乱入により〝恋愛奔放な御曹司〟としてゴシップ誌を賑わせたが、それも一時。
観月建設の東南アジアにおけるインフラシステムの一大プロジェクトは、吉鷹のリーダーシップにより順調に進んでいる。

新都銀行との関係もあれから変わらず、資金繰りに問題は起きていない。

茉莉花の父が経営する設計事務所もマリアンジュも同様に、新都銀行との取引は継続している。

茉莉花は妊娠三十七週に入り、大きなお腹を抱えているため少し動いただけで汗ばむ。
年が変わる頃、本格的にはじまった悪阻は二月中旬には嘘のようにピタッと収まった。胎児の発育も順調に推移し、先日の定期健診では頭が骨盤の中に下がってきているのがよく見えた。

エコーで確認するたびに立派なシンボルが映り込み、男の子であるのも判明している。
最近は胃や胸の圧迫感がなくなったかわりに膀胱が圧迫され、トイレがとても近い。

時々不規則なお腹の張りや痛みを感じ、赤ちゃんが危険な状態なの……? と不安になり病院に行くが、そのたびに特に問題ないと言われる。
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