「ねぇ、出来損ないのルゥルゥ。あなたでも役立てることがあるわ」
「リーファ姉さん」
「私の代わりに、獣人王の後宮へ行きなさい」

 ルゥルゥは目を瞬かせ腹違いの姉のリーファを見た。彼女は美しい金髪をさらりと横に流しながら、口角を上げて、さも正論とばかりに言い放った。

 獣人の住む国である華佳(かか)国の王都にあるワン家は、うさぎ獣人の家だ。家の主、ムーチェンには子どもがたくさんいるが、成人している娘はリーファとルゥルゥしかいない。

「いいこと、ワン家から誰か嫁がないといけないの。別に私でなくても、あなたでもいいでしょ」
「でも、姉さんは後宮に行くのを楽しみにされていたのでは……」
「うるさいわね、私に文句があるの? 後宮なんて、自由もないし獣人王は妃の相手をしないって言うじゃない! そんな生活、まっぴらごめんよ」

 いきなり目を吊り上げて怒り始めたリーファは、獣人王ヤン・イーチェンの悪口を言い始めた。

「これまでだって、後宮に来た女性は全て追い出されているのよ。何かあるって、噂じゃない。私も騙されるところだったわ」
「そんな、陛下のことをそんな風に言うのは不敬では」
「不敬でも何でも、嫌なものは嫌なのよ!」

 リーファは顎をつんと上に向けて、いかにもこれ以上話を聞かない、とばかりに顔を横に向けた。