ぼんやりとした記憶を辿りながら、ルゥルゥは目を開けた。普段見ている瑠璃宮の天井だ。あぁ、自分は無事に戻ることができたんだと思いながら、そういえば、気を失う前に何か大切なことをイーチェンに言われたような気がする。

 あれは、何だったのだろうか――……

 目を何度か瞬くと、ルゥルゥの目が覚めたことに気が付いたシーハンが声をかけた。

「兎貴人様、お目ざめですか」
「えぇ、シーハン」
「気持ち悪いところなどは、ございませんか?」
「ええと、ちょっと胃のあたりが気持ち悪いような……」
「まぁ」

 いつも無表情なシーハンが、珍しく眉を寄せて心配そうな顔をして見ている。確か、リーファに薬を嗅がされて、朦朧としたところを朱雀門でソン老に攫われて、その後の記憶が朧気になっている。

「シーハン、私はどうして瑠璃宮に戻ることができたの?」
「まぁ、兎貴人様。そこの記憶もないのですか?」
「え、えぇ。何か大切なことを陛下に言われた気がするのだけど……、よく覚えていなくて」
「それはそれは。陛下であれば、すぐに飛んでくると思いますから、その時に聞かれれば良いかと思います」
「そうなの? 陛下が来るのであれば、ベールをかぶらなければ」

 慌てて起き上がろうとすると、シーハンが肩を持ち手伝った。

「では、お着替えをして、少し髪を梳きましょうか」
「シーハン、お願いね」