昨夜から降り始めた雪は今朝になってようやく止んだ。ルゥルゥは隙間から流れてくるひんやりとした空気から、冬が始まったことを知る。イーチェンのいる王宮に住むようになってから早、二十年近く時が経っていた。

 ルゥルゥは七人目となる男の子のイーライを産むと、産後に大きく体調を崩してしまう。出産時に出血が止まらず、死線をさまよったことが後を引いていた。

出産から三年も経つが、徐々に起き上がることの出来る日が少なくなっていく。鳳凰宮にある私室はイーチェンの執務室が近く、人の出入りする音が聞こえるため離れた静かな場所に寝室が移された。

格子窓の外には、雪景色が広がっている。

「ルゥルゥ、白湯を持ってきた」
「はい、あなた」
「起き上がることが出来るか?」

 イーチェンは暇があると、甲斐甲斐しく率先して世話をする。寝ている時間の多いルゥルゥの身を、自分のことのように心配をしていた。

 壮年となったイーチェンは、顔に深みが出てきた。そしてルゥルゥを労わるように傍にいる姿は、長年連れ添ってきた夫婦にしか醸し出すことのできないものだ。イーチェンは変わらぬ愛情をずっとルゥルゥに注いでいる。

「肩が寒いであろう、これをかけるといい」