(うぅ、頭が重い)

 ルゥルゥが目を覚ますと、そこは見たこともない風景が広がっていた。広大な平原が広がっている。そよ風に合わせて葉を揺らす背の低い草が生い茂っている。

(ここは、どこ?)

 おかしい、さっきまで後宮の一室にいたのに、一面に広がる景色は王都とはまるで違う。

 頭を抱えながらも周囲を見渡すと、一本の道がみえる。まさか、黄泉の入り口に来てしまったのだろうか。とにかく人に会わなければ、とルゥルゥは歩き始めた。

 どうして、こんな辺鄙なところへ飛ばされてしまったのだろう。獣人王に拒まれたことで、思いのほか落ち込んでしまった。部屋に一人となり、泣いたところで確か、胸にあった紫水晶の首飾りが光りはじめて……、そこまでの記憶しかない。

「どうしよう、まいったわ」

 どこに進もうか迷ったところで、黒い仔犬が道を走るのが見えた。ここに来て、初めて見る生き物だ。

「どこにいくの?」

 思わず声をかけてしまったけれど、仔犬に人の言葉が通じるはずもない。けれど、仔犬は足を止めて、ルゥルゥを金色の瞳で見つめてきた。

「まぁ、なんて綺麗な目をしているの?」

 ルゥルゥに近寄って来た仔犬は、ちょこんと座って見上げてくる。ルゥルゥは思わず黒光りする毛を撫でた。

「お利口さんなのね」
「クゥーン」