女官たちの控室に戻ると、ルゥルゥの待遇を聞いたミオンが目を吊り上げて待っていた。

「あんた、どうやって陛下に取り入ったのよ。陛下が女官を指名するなんて、初めて聞いたわ」
「何も、ただ怪我をしてしまって、それを哀れに思われただけです」

 キッと睨んだミオンは、ルゥルゥが怪我をしている方の腕の手首を握った。

「この手が誘惑したっていうの? はっ、どういう手管なのよ」
「どうって、私は何もしていません」
「何もしていなくて、どうして陛下があんたを気に入るのよ」
「……、匂いかもしれません」
「はぁ? 匂いだって?」
「私の血の匂いが甘いと言っていました」

 そこまで言うと、ミオンは「チッ」と舌打ちをした。

「まぁ、せいぜいお手打ちにならないように、頑張れば? 陛下は部下を人と思っていないから。何かミスをしたら、命がなくなるわよ」
「陛下は、そんな方ではありません」
「なによ、偉そうにして」

 ギリ、と奥歯を噛んだミオンがその目を吊り上げた。掴んでいるルゥルゥの手首を捻ると、そこに残る無数の傷痕を見て、にやりと笑った。

「ふーん、あんた。そんな傷があるなんて、どんなことしていたのよ」
「こ、これは前の家で」
「これだけあれば、新しく傷がついても構わないわよね」