鳳凰宮の庭園の一角に、今日は行商人が街からやってくると聞いた。御用聞きをしている彼らは、普段は滅多なことでは外にでない女官や侍女達に化粧品や、飾り物、流行りの書物などを持ってくる。前回から若い行商人の弟子を連れていて、その彼がすこぶるいい男とあって、侍女たちがはしゃいでいる。

 ルゥルゥも誘われるままに、幕屋を立てた行商人の店頭に顔をだした。

「何かいいものがあるかしら」
「いらっしゃい、って、ルゥルゥじゃないか!」
「ロウハイ!」

 女官に人気のある弟子は、ルゥルゥの幼馴染のロウハイだった。聞くと、ロウハイは行商人となるために弟子入りしていて、最近は宮殿の中に入って商売をしていると言う。

「ロウハイ、立派になったのね、最近はどうしていたの?」
「今は修行していてさ、そのうち独立したら店を持とうと思って」
「そうなんだ、凄いね」

 ルゥルゥは久しぶりにロウハイと話すことができて、嬉しかった。ルゥルゥにとって、数少ない友人と呼べる存在だった。

「ルゥルゥ、ちょっとこっちで話ができるか?」
「え、えぇ。今なら時間があるけど」
「ちょっと待って」

 行商人に何か話をしたロウハイは、「これでいい」と言ってルゥルゥの手を引いていく。庭園の大きな木の陰になるところに移動すると、ようやく手を離した。

「ルゥルゥ、元気にしていたか? チェンシーも心配していたぞ」