クールな御曹司の溺愛ペット【続編完結しました】
【おまけ】一成side ~実は一成はこんなことを思っていました的な話~
妹、夏菜が荒れている。
母に何やら愚痴を垂れているらしい。
断片的に聞こえてくるのは、高校に行きたくない、ということ。
どうやら塚本屋の社長令嬢だとバレてその恩恵にあずかろうとする者ばかりが声をかけてくるのが気に入らないようだ。

その気持ちはわからなくもない。
そんなやつばかりではないと思いながらも実際にそういうやつに出会ってしまうと疑心暗鬼にもなるというものだ。
まあ、親が社長だからといって別に何があるわけでもなかろうに。

「お兄って友達いるの?」

もそもそと一人食事をとっていた俺に、夏菜が鋭い目を向けた。

「……それなりにいるが?」

「嘘でしょ。冷徹無慈悲なお兄がどうやって友達つくれるわけ?」

我が妹ながらとんでもなく失礼な発言をする。
妹だから、なのかもしれないが、それにしても失礼すぎてため息が出そうになった。

「頑張って作らなくてもいいんじゃないか?そのうち気が合うやつに出会えるだろ」

「ふん、お兄は楽観的でいいよねー」

冷徹無慈悲だの楽観的だの、夏菜の俺に対する評価がすこぶる悪いようだが、まあこんな程度で目くじらを立てる俺ではない。

「女子はさ、男子と違って面倒くさいのよ。ほんと、嫌になる」

「お前の性格はなんか男っぽいしな」

「お兄に言われるとなんかムカつく」

夏菜は大げさに頬を膨らまし、八つ当たりとばかりに俺にパンチを繰り出した。
それを軽くいなしながらもそもそと食を進める。

妹のことはそれなりに可愛い存在だ。
物事をハキハキとしゃべるし気が強いように思う。
だけど意外と寂しがりや。

夏菜のことを理解して分かり合える友達が一人でも現れるといいなと心密かに願った。
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