俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く～ドＳな旦那様の甘やかし政略結婚～

さっきスマートフォンを取り出したとき、気づかないうちに落としてしまっていたようだ。

「わっ、教えていただきありがとうございます」

慌てて拾い上げ、お礼を言った。

財布には現金だけでなく、クレジットカードやキャッシュカード、運転免許証や健康保険証なども入っているから、本当に助かった。

「いえいえ、気をつけてね」

ふんわりと微笑まれ、これもなにかの縁だし占ってもらおうかな、という気持ちになる。

正直、占い師というとうさんくさいと思ってしまうほうなのだけれど、彼女はとても親しみやすい雰囲気だ。

「占ってもらえますか？」

ほかにお客さんがいないのを確認し、彼女の向かいの椅子に座った。

「もちろんよ。なにを占う？」

「未来の旦那さまとの相性を。実は私、明日婚約するんです」

「あらまあ、そうなの。おめでとう」

祝福してもらい、頬が緩んだ。

私は明日、都内有数の大病院である相馬総合病院の院長の長男、相馬光一（そうま　こういち）さんと正式に婚約する。

そのために、父の許しをもらって社会経験を積んでいた会社をこのたび寿退社したというわけだった。