きっかけはあの出来事でも光一さん自身に惹かれたから、それからもずっと恋心を保てたのだ。それは間違いないと思いたい。

なのに根底から覆され、自分の心がわからなくなった。

「私は、隆成さんを……」

目の前にいる隆成さんを意識せずにはいられない。

私の記憶違いを知った彼は今、なにを考えているのだろう。

「ちなみにだが、あの日俺はしっかりおまえの風邪をもらって翌日寝込んだ」

「そうだったんですか。今さらですがすみませんでした」

たしかあの日、隆成さんは私が再び眠りにつくまでずっと頭を撫でたり手を握ったりしてくれた。

おかげでものすごく安らげ、次に目覚めたときはすっかり体調がよくなっていたのだ。

「俺が千里のそばにいたかったんだから本望だ」

屈託なく微笑む彼に、胸が熱くなった。

まさか彼が昔からそんなに優しい一面を持っていたなんて、今さら知った私はどうすればいいのだろう。

いろんな感情がないまぜになって、彼のほうを見られなくなった。