その夜は言葉数が少ないまま、食事を終えて帰宅した。

そして翌朝、私はまさかの熱を出してしまった。

体温計には三十七度八分と表示されている。くしゃみと鼻水も少し出ていたから、隆成さんが風邪薬を処方してくれた。

「体、しんどいか?」

「いいえ。少しぼーっとするくらいです」

それでも隆成さんに仕事はしっかり休むように言われ、出勤日だった私は病院に連絡を入れた。

自己管理ができていない自分に落ち込んでしまう。

「気にするな。病院で働き始めた頃はよく風邪をひくものだ。薬を飲んで安静にしていれば明日には治るだろう」

そういえば瀧石さんにも、『新人さんはよく風邪をひくのよ』と言われたことがあった。病院を訪れる患者さんからもらってしまうのだという。

「隆成さん、あまり私に近づかないほうがいいですよ。風邪がうつってしまいます」

寝込んでいる私をベッドのそばで見守っている彼に警告した。

「何年医者をやってると思っているんだ。風邪の抗体くらいできている」