「アイラ、好きだ、……愛して、いるんだ」

 セドリックは肩を震わせて、酒場の机に突っ伏しながら呻いた。何度も繰り返される告白を、妻のセリーナは黙って頷きながら聞いている。

「アイラ、俺は、アイラのことをずっと……」
「好きだった、のね」
「そうだ、好きなんだ。あの時助けてくれたアイラは、俺の天使なんだ」

 アイラはセリーナの腹違いの妹だ。母親は違っても、明るいヘーゼルの瞳も背丈も似ている。けれど、太陽のように輝く笑顔をふりまく金髪のアイラに対して、穏やかに微笑む銀髪のセリーナを間違える者はいない。二人はまとう雰囲気が違っていた。

 セリーナを生んだ母は出産直後に亡くなった。父は人に勧められるまま再婚してすぐにアイラが生まれた。セリーナは魔術の才能を師匠ミーナに見いだされ、幼い頃から厳しい訓練を受けた。その一方で、アイラは可愛らしく笑い、人々を魅了する子どもだった。

 二人は街で評判の美人姉妹として育つ。セリーナはアイラのように輝く笑顔ではなかったけれど、静かな湖面のように美しい微笑みは、本人の知らないところで評判になっていた。だが……

「アイラ、……アイラッ!」