総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。
私とお母さんはお散歩に出かけた。
親子でこうして出歩くなんていつぶりだろう。
相変わらず、一条が、側で護衛をしてくれていることにも心が温かくなる。
「一条、いつもありがとう」
ちょっと離れている間にまた華やかさとかっこ良さが増したのは気のせいだろうか。
「あ、そうそう。一条くんね、恋人が出来たらしいのよ」
「え!?……ええーーー!?」
あまりの事態に私の頭が追いつかない。
「い、一条!恋人って誰?ねえ、教えてよー!」
私の言葉にいつもは冷静な一条の顔が真っ赤に染まる。興味津々な私をお母さんが宥めた。
「あ、その……柊 はのん様、……です」
え、柊 はのんって私の学校にいたような気がするんだけど、……。
ていうかその子、めっちゃ凄いお嬢様じゃなかった??
しかも、真陽くんと同じ苗字……。
「私はもう二十四歳で、はのん様はまだ桜十葉様と同じ年なのですが……」
「え、どうしてそんな凄いお嬢様と恋人になったのっ??というかその子、兄妹とかいたりするの?」
「ええと、……居ないと思いますが」
そっか……。
じゃあ真陽くんとはのんさんはただ同じ苗字なだけで関係はないんだな。
そしてその後は、一条の恋人の話を私が満足するまで話してくれた。