総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


一条は私の家に仕えているが、もうひとつの柊グループのお嬢様の専属執事でもあったようだ。

そして、そんな柊 はのんさんの事も頬を染めながら沢山話してくれた。

一生懸命に喋る姿が可愛らしいだとか、朝の寝起きが悪い所がとても可愛いとか、キスをねだってくる所がやばいくらいに可愛いとか。

一条の口から出てくる言葉はどれも“可愛い”ばかり。

私の口角はどんどん上がっていって、最終的にお母さんに気持ち悪いわよ、とまで言われてしまった。

そっかー、そうだったのか……。

大好きな一条に恋人が出来るのはとても寂しい気持ちになるけれど、仕方がない。


「私、実は自分からはのん様と離れてしまったんです。言い方は少し悪くなってしまうかもしれませんが、私はこの坂口グループに逃げてきただけなのです」

「うん……」

「はのん様と離れてしまってから、ようやく自分にはやっぱり彼女が必要なんだと思いました。桜十葉様の執事として仕えている時も、頭の中ははのん様のことでいっぱいでした」


だから入学式の日のあの時、桜十葉様に危険な目を合わせてしまい、本当に申し訳ありません、と一条は深く頭を下げた。

「えっ!?い、一条、頭を上げて!わ、私もね、その気持ちが分かる気がするの。誰かで頭の中がいっぱいになってるって事はその人の事が本当に好きって事でしょ?そうだったら早くはのんさんの所に戻らなきゃだよ!」

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