総長様は可愛い姫を死ぬほど甘く溺愛したい。


「俺の家は、代々───、ヤクザの家系なんだよ。そして俺は、……っ、そんな坂口グループの組長の息子なんだ」


裕翔くんの言葉があまりにも予想していたものとは違っていた事にとても驚いた。それと同時に、いつかの昔に、すでに聞いていたような気がするのは、なぜだろう。

不思議で、不思議すぎて、その真相は遠ざかっていくばかりだ。


「そして俺は、今でも黒堂の暴走族の総長、……をやっている」


こ、黒堂……?

総長……?

裕翔くんの口から出てくる言葉が私の知らない言葉ばかりで、動揺してしまう。

でも、それ以上に……。辛かったんだね、裕翔くん。

裕翔くんを全部、受け入れたいと思う気持ちが膨らむ。目の前の存在が、どんどん愛おしいものに変わっていく。


「俺の事、……怖くなった?」


裕翔くんの声がとても震えている。

私は裕翔くんの震える体をギュッと抱きしめた。


「っ、…バカだなぁ裕翔くんは。本当に、バカだよ」


裕翔くんは、わけが分からないという顔をして、瞳を揺らがす。私は、裕翔くんのサラサラな髪の毛を力いっぱい撫でた。

本当に、バカだよ……。私の気持ちも知らないで。


「そんな事ない。だって、ヤクザの息子だろうが、暴走族の総長だろうがそんな事、私にはどうだっていいもん。裕翔くんは、裕翔くんなんだから」

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