Evil Revenger 復讐の女魔導士 ─兄妹はすれ違い、憎み合い、やがて殺し合う─
「我々は結局、最後までヴィレント・クローティスを侮っていたということだろう。どれほど高く評価したつもりでも、奴が魔王様より強いはずがないと。だから我が軍が負けるはずがないと、誰もが思っていた」

 最初から奴の強さを正確に捉えていれば、やりようはあったはずだ、と右手を握りしめ悔しそうに、ガイアスは言った。

「明日にはベスフル軍との講和会議が行われる。魔王領は今まで以上に厳しい立場に立たされるだろう」

 衰退していく魔王領。祖父が目指した魔王軍の再興の希望は潰えたようだった。

「それでも俺は魔王領を立て直さねばならん。お前はどうする?」

 聞かれて私は考える。
 ガイアスと共に魔王領を立て直す?
 いや、もうネモもいない、祖父もいない。私がこの場所に残る理由はもうない。

「魔王領を出るよ。私がここに残る理由がないから」
「ではどうするのだ? ベスフルに戻るのか?」

 ベスフルに戻る?
 いや、それこそあり得ない。1度裏切った私を、あの国が迎え入れるとは思えない。私も戻りたいとも思わない。
 私は首を横に振った。

「あの国にはもう戻れない。あそこに私の居場所はないから」

 では、どこへ行くのだ? と問われる。
 どうすればいいのだろう?

──お前にはまだやることが残っているんだ──

 ネモが夢の中で言ってくれたことを思い出す。
 私は──
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