2週間前
 自宅のマンションのベランダから飛び降りて、遠藤くんは死んでしまった。

 遺書はなかったけど、自分のスマホメモにいじめられて生きているのが苦しい様子を残していたらしい。それでも遠藤くんの両親は悲しみのあまり自殺を認めず息子は事故と言い張ったので、学校側も悲しい事故として処理していた。僕たちは正直ホッとした。

 葬儀は担任命令でクラス全員出席だった。
 感情的な女子は泣いていたけど、それは遠藤くん個人との別れがどうのこうのではなく、死という儀式に酔って泣いてるだけだった。いじめていた今井たちはこんな時でもバカ話をしていたし、僕たちも妙に冷めてイラついていた。

 たぶん、たった2、3ヵ月で馴染まず現実離脱した遠藤くんに対して少し腹が立っていたのかもしれない。そして、人の死に対してそんな考えを持っている自分にまた腹が立って余計イライラしていたと思う。
 担任の泣き声がご両親より大きかったのも嫌だった。ご両親が僕たちに気を使っていたのも嫌だった。遠藤くんの中学時代の友達の姿が見当たらなかったのも嫌だった。
 ただその中で、遠藤くんのお姉さんが涙を見せず、強いまなざしで前を向いている姿になぜか救われていた。