死んだはずの遠藤くんが教室に居る話
 きょとんとした顔の遠藤くんの顔が面白くて、みんな笑った。
 酷いことをしている事実は僕たちの心にはない。ただ高校に入って初めてクラス全体の一体感を持てた気がした。僕たちは変なドッキリ企画的を成功させただけで、悪意はなかった。

 ウィルスのようにちょっとした悪戯心が広がっていた……って、言うのはただの言い訳で。

 僕たちは加担した。
 見て見ぬふりをした。
 そのうち終わると思っていた。
 誰かが止めても遠藤くんは微笑んでいた。
 死ぬほど悩んでるとは思わなかった。
 なすがままの遠藤くんにイラついた。

 僕たちは加害者だ。
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