死んだはずの遠藤くんが教室に居る話

 5時?
 朝の5時?夕方じゃなくて?え?
 何時間寝てた?
 15時間ぐらい?いや18時間?
 頭が回らなくて計算力がない。

 寝すぎて頭が痛い。

 僕は着替えもせず、学校から帰ってきたままの姿で寝ていた。カーテンは閉じていてクーラーは停止され窓が少し開いていた。枕元におにぎりとペットボトルのお茶が置いてあった。

 ベッドから起き上がって頭を抱えてお茶を飲む。

 腹へった。
 おにぎり嬉しい。

 スマホのLINEを開くと、兄からLINEが届いていたので一気に目が覚めた。
 それを開くと
 たった一行【夜の9時くらいに下に行くわ】って書いてあった。昨日の2時ころ届いている。

 それって何だっけと、回らない頭で考えてから思い出す。
 顔を見て直接話を聞いてくれる約束だ。
 
 下に行くってことは、家族会議でいいんだよな。これはもう……お母さんに注意事項が山ほどあるって思いながらも、嬉しくて頬がゆるんでしまう。
 兄に感謝のスタンプを送り、次は最新のクラスグループLINEをチェックしたら、今くらいの時間の書き込みが多かった。

 みんな同じくらい寝ていたらしい。

 遠藤くんの最後の呪い。
 そんな題名を付けて、書き込んだ人たちは楽しんでいた。

 僕も寝ぼけた猫がおはようとつぶやいているスタンプを押して、カーテンを開き夏の朝の空気を満喫する。

 
 遠藤くんとの約束が僕には待っている。






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