暗い暗い海の底
6.
◇◆◇◆

 腕の中の彼がのそりと動いた。
「なあ。オレ、聞いてみたかったんだけど。お前って、いつからオレのことが好きだったわけ?」
 キラキラ男は勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。

 そんな彼が可愛らしくて私もつい、余裕のある笑みを浮かべる。
「そうですね。恐らく、あなたを一目見たときから、だと思います」

「それって、一目ぼれっていうやつ?」

「そうかもしれませんね」
 その答えが満足なものだったのか、それとも満足のいかないものだったのか。
 彼の表情から読み取ることはできない。何しろ彼はひねくれ者の甘えん坊なのだから。

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