チューリップラブ





国外にいる間には全く目にも耳にもしなかったことが、あれこれと情報として入ってくる。その情報の中には玲央に関するものもあった。

大学時代の友人たちと会えばこぞって、有名になったり活躍している知り合いの話を自分たちのことのように意気揚々と話してくれる。

玲央は一緒にアメリカに渡った三鷹さんと起業したという。もちろんコンサルティング会社を。

世界中どこにいても調べようと思えば調べられたことだが、一度も玲央の事を検索したりしていない。それを友人たちから簡単に耳にしたと思えば、すぐにビジネスマガジンの表紙の見出しに彼の名前を見つけた。

やったね、玲央。努力して、いろんなものを削って、真っ直ぐ進んだ結果手にした成功だね。おめでとう、玲央。

私は帰国したものの、借りられる店舗の発掘に苦慮していたのだが、玲央の活躍を目にして俄然やる気が出てくる。いつかどこかで出会った時に…60とか70とかおじいちゃんおばあちゃんになって再会した時に胸を張って‘自分の人生を歩んだ’と大きな声で玲央に言いたい。
< 15 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop