再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

　どうみてもトラブっているように見える。それも、男性が一方的に何かを言っていて、今にも怒鳴りつけそうな様子だ。
　威圧的な態度は、見ていて気持ちがいいものではないだろう。
　小太りで脂ギッシュな中年男で、社会人としての品を感じない。

「どうしたの？　品川さん」
「小関さん！」

　慌ててこちらに寄ってきた彼女を抱き寄せたあと、背後に匿う。
　すると、品川に言い寄っていた中年の男は真綾の全身を舐めるように視線を這わせてくる。

　気持ち悪さを感じながら、品川を庇った。

「彼女に何かご用でしょうか？」
「品川を知っているということは、アンタも商品戦略プランニングチームか？」
「……そうですが」

　不躾な視線に嫌悪を感じながら返事をする。
　この男性は一体何者なのだろうか。だが、うちのチームの正式名称を知っているということは、内部の人間なのだろう。

　訝しげにしていると、その男性はニタリと厭らしく笑った。

「俺がいなくなったあとに入った女ということか。本社から来るって言っていたな」
「え……？」

　ますます眉間に皺を寄せると、その男性はククッと意味深に肩を震わせて口角を上げる。