午後一時半を時計の針はさしている。
 けだるい昼の日だまりの中、真綾は会社近くにあるカフェで難しい顔をして唸っていた。

 午前中の仕事が押していたために、とうに昼休憩の時間は過ぎている。
 そのため、店内は人もまばらだ。盛大にため息をついても、誰も咎めないだろう。
 そう思うものの息をグッと堪え、自身の憂鬱な気持ちも無理矢理呑み込んだ。

 エビとアボカドのサンドウィッチとカフェオレを注文し、それらを前にしたが悩み事で頭がいっぱいで手を付けられない。

 携帯ケースに忍ばせておいた名刺を取り出す。それを見つめながら、視線を落としてあの日のことを思い出す。

 風邪という診断を受けて幹太は別室で吸入の治療をしている間に、彼の携帯に電話がかかってきた。
 央太は慌てた様子で「電話に出てくる」と真綾に声をかけたあと、院外に出て電話応対をし始めた。

 扉越しに見える彼は、真剣な表情で電話をしている。
 やはり忙しいのだろう。時計を確認しながら、険しい表情を浮かべていた。
 早く仕事に戻るように央太に伝えた方がいいだろう。