さよなら。
今日愛するあなたと別れた。
あなたに限って…。そう信じた私が愚かだった。あなたが違う子に目移りするなんて。あの頃は想像もしなかった。

何時からだったかな。私があなたに不信感を抱いたのは。
あなたは何処か、私と話してしても上の空。一緒に居ても楽しいフリしてたの私知ってたよ。

ある日の夜。友達と飲みに行った。店に入ったら偶然あなたを見つけた。話しかけようと思ったけど、話しかけるのを辞めた。何故か話しかけちゃいけない気がしたの。
あなたは友達と話をしていた。近くの席を案内されたから内容が聞こえてくるの。
私の愚痴をその友達に話していたのを聞いた。
「あいつは気が強過ぎるんだよ」
「優しいんだけど、後輩の○○ちゃんと比べると何か違うんだよな。」
「何かさ、当時は可愛いと思っていた笑顔も可愛く感じなくなったんだよな。」
…本当にあなたなの?そう思うような内容と、品のない笑い声が耳から離れない。
友人は今にも乗り込みそうな勢いだったけど、私が引き止めた。どんな事を思っているか気になったから。
更にその後も私への悪口は止まらない。
挙句の果てにはその友人も
「彼女と別れたらいいんじゃねぇの?」
笑いながら言う。彼は
「あー。そうしたいんだけどさ、面倒くさそうじゃん?あいつ泣きついて来るかもしれないしさ」
彼と友人はまた下品に笑い出す。
涙は不思議と流れなかった。いいよ。そんなに嫌なら別れてあげる。
帰り道友人には心配されたが、「大丈夫だよ。」そう言って微笑んだ。

実はね、あなたの音声録音してたの。最初からね。嫌な予感がしたから録音しちゃった。
けどね。帰宅したら泣いちゃった。涙が嫌ってほど止まらないの。とめどなく溢れて止まってくれないの。
いつからあなたはそんな人になっちゃったの?最初から?違う。そんな人じゃなかった。
そういえば、付き合った当初と比べると、見た目も少し変わってしまったね。
あなたの優しいところ、温かいところ、包み込んでくれるような笑顔が大好きだったのに。私は別れようと思う。当然だよね。こんなに嫌われてるんだもん。でも、素直に別れてあげない。だって私は『気の強い女』なんでしょ?

次回会う時から実行した。今までより優しく接した。笑い方も優しく笑うように頑張った。
…だけど、友達によると、『何処か切なさの残る様な、悲しげな微笑み方だよ』と言われてしまった。
自分では全く分からないけど…。

彼はだんだん疑問に思う様になった様だ。「最近何かあった?」なんて聞いてきたの。「白々しいなぁ。」なんて思いながら、微笑んで「心配してくれるの?ありがとう。」と言った。
そんなこんなで、真逆の性格を出すようになって少し経った頃、『彼は私と別れたくないらしい。』との噂を耳にした。もう遅いよ。あなたなんか大嫌い。今日、あの時録音したスマホを持参して、彼に別れを告げる。もしも『何故?』と聞かれた時に流す予定だ。

カフェで待ち合わせした。
結果。別れを告げると、彼は焦る様な仕草を見せ、「どうして急に!?」そう言った。スマホで録音した音声を流した。彼は青ざめて言い訳し始めた。
私は「私の事そう思ってたんだね。愛してたのは私だけだったんだね。最初はお互い大切に思ってたのにね。あなたの後輩の○○さんとお似合いだと思う。あなたと彼女、目と目で『好きだ』って言ってたもんね。その時さ、私偶然見ちゃったのよね。本当に偶然って怖いね。」
彼は別れる事に了承した。しない場合は、させるつもりだったけど。

帰り道、カフェから出ると雨が降っていた。私の目から涙が溢れてきた。
あぁ。助かった。濡れて帰ろう。そうすれば泣いてるなんて分からないでしょ?ずぶ濡れでもいいや。濡れたい気分なの。
帰宅しながら固く誓った。『誰も愛さない。付き合わない。結婚しない。どんな人でも変わるものだ。』そう思って自己防衛した。

あれからずっと毎日泣いていた。分からないけど、涙が止まらないの。
日常で、親しい人達には対応は変わらなかった。同性に対しても変わらなかったけど、異性はダメだった。冷たくしたりして、寄せ付けないようにした。『話しかけないで』そう思って。

ある日風の噂で聞いた。あの人があの後輩と付き合ったと。何故だろう。涙が一筋流れた。もう何とも思っ思ってないのに…。変なの。そう思いあまり考えないようにした。

ふと、私は思った。毎日誰かがハッピーエンドを迎える。幸せを感じる。
それと同時に、誰かが必ずバッドエンドを迎える。悲しみ、苦しみを経験する。

あれから月日が流れたけど、私は未だに誰とも付き合っていない。
雨が降る日は必ず雨に打たれ、涙を流す。無意識の間に、それが習慣になっているのに気づかないまま、今日も雨に打たれながら家路に着く。涙と共に…。

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切ない  失恋