兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
そして、今

現実

「優莉」
気付けば病院のベッドの上。

この光景は見慣れた。

代わり映えのない白い天井。
無機質な壁や蛍光灯。

少し懐かしく感じるのは大学を卒業間近に入院していらい、入院することがなかったからだ。

「優莉」
もう一度名前を呼ばれて、声のする方に視線を向ける。
鉛のように重い体は、少し顔の角度を変えるだけでも一苦労だ。

「優莉」
それでも、だるさに逆らって体を動かすのは、その声の方を見たいから。
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