だめんずばんざい
紹介した!
紹介したい人がいる、そう言って電話したとき、お父さんは
‘そうか…結婚か?’
と短く聞いてきた。うん、と答えると
‘待ってる’
それだけで電話は終わっている。高速道路を走るガクトの車で‘どうやって紹介しよう…’と考えていると
「カオルちゃん、心配ないよ。夜に食べたいもの考えてくれる?」
ガクトが前を見たままそう言い、一瞬チラッと目だけをミラーに移し後方を確認する。
「夜か…昨日中華だったから何がいいかな…」
口ではそう言ったが食べ物は何も思い浮かばなかった。一般道に下りてからは15分ほどで家に着く。
「道路も景色も全然違うなぁ。建物が違うからだね」
「そうだね。東京とここでは15分で走れる距離が違うよ。私、運転好きだけど東京で運転したくないもの」
「帰り運転する?東京の運転が嫌なら高速の途中で交代するよ?」
「いいの?こんな高級車運転したことないけど?」
「前向いて走るのは同じだよ」
そう言ったガクトはコンビニの駐車場に入り
「あと5分くらいでしょ?運転してみて考えればいいよ」
と運転席を私に譲った。2ドアのレク○ス…2ドアの車って乗るのが初めてで車内空間の違いにまだ慣れないと思いながらも、少しわくわくしてハンドルを握った。