だめんずばんざい
引っ越した!






引っ越しをするには、荷物をまとめるよりも処分する方が大変だと思い知った。

キッチンもガスからIHに変わるしこのままの道具は使えない。何より何もかも10年前のもので古いので、今使っている服、靴、バッグなどだけ持てばあとは処分だな。金曜日に有給を取った私が荷物をまとめていると、昼過ぎにガクトが秘書の宗方さんと部屋に来た。挨拶をしてから

「宗方さんと宗方さんだね…宗方父とか宗方1号ってうちでは言わないとわからないね、ガクト」

私はすみ子さんと一緒にいた宗方さんを思い浮かべながらガクトに言う。

「ぶっ…聡にい、宗方2号だって…腹いてぇ」
「それはちょっと…カオルさん、聡一でお願いできますか?」
「ガクト、どう思う?」
「聡にいで」
「私のお兄ちゃんは櫂だもん」
「聡一でいいんじゃないか?」
「聡一さん?聡さん?そーさんにしていいですか?」
「はい。カオルさん、よろしくお願いします。仕事で岳人と連絡が取れない時や屋敷に連絡を取りたい時にいつでも私に連絡ください」
「ありがとうございます。わかりました」
「カオルちゃん、1号に連絡してもいいんだよ?」
「…了解…それ1号に言わないでよ?」
「了解…多分言わない。2号から伝わるかもな…」
「カオルさん、荷物どんな感じですか?業者の手配等のために様子を見にきたんです」

まだお腹を抱えているガクトを放って、そーさんが部屋を見渡した。

< 94 / 195 >

この作品をシェア

pagetop