俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
プロローグ
 『コツッコツッ』

 大理石の上を歩く革靴の音が響く。

 エントランスには、場を支配する圧倒的なオーラを出し歩く男。半歩前にはSPなのだろうか。こちらもただならぬオーラを放っている。

 その男の姿を見た者は、スッと端に避け男の通る道をあける。

 どこかに近寄る隙はないかと遠巻きに見る女性が数人。無知なのか強者なのか、はたまた余程の自信があるのか……。

 その時だった。

 男の数メートル前で、
 『ビタッ』と痛そうな音を響かせ盛大に転ける女性。

 『シ〜ン』と辺りは静まり返る。

 一瞬にして男の機嫌は急降下。

 『ピキッ』と音が聞こえそうなほど、眉間にシワが寄る。

 みんなが固唾を呑んで見守る……。

「痛っ〜い。なんで?何かに引っ掛かったんだけど〜え!?」

 起き上がりあまりにも静まり返る状況と、みんなの視線が自分に突き刺さる状況に、羞恥より戸惑いが大きくなる。

 その時……。

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