政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
 涼成さんの喉仏が上下に動く。静けさが私たちを支配したのも束の間、苦しげに顔を歪めた涼成さんは唇を強く押しあてた。

 吐息を交わらせながらきつく抱き合う。

「気持ちいいに決まってるだろ。恵茉に触れられるだけで、どんなに幸せか」

 幸せで、心が満たされて、心地よくてこのまま快楽の海に溺れたいと自然と思う。

「愛してるよ、恵茉」

「私も……」

 涼成さんが獣になったかのように荒々しくなり、一気に海の底に沈められた私は大事な言葉なのに最後まで紡げなかった。

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