こころが揺れるの、とめられない
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わんわん泣いていたい気持ちがどこかへいってしまうくらいの、わたしの、気がかりなこと。
それは、言わずもがな——。
「三澄に見られた、って……」
わたしの口から告げられた衝撃の事件に、さやちんは、ポロ、と唐揚げをお箸から取り落とした。
「情けない一部始終を、ぜんぶ」
「それはまた……。かわいそうに」
あちゃあ、というさやちんの顔に、わたしは思い出し羞恥に襲われる。
あの時の恥ずかしさがぶり返し、食べかけの卵焼きをお弁当箱に戻して、わあっと顔を覆った。
「きっと、ひとりごとも聞かれてた……」
そう。
あのとき。
『好きになんて、なるんじゃなかった』
わたしは、確かに口に出してしまったんだ。
つまり、あの場にいた三澄くんには。
わたしがどうして泣いているのか——その理由に、だいたいの検討がついてしまったと思う。
失恋して、わんわん泣いて。
ぐちゃぐちゃな顔も見られちゃって。
「面白がって言いふらされたりしたら、わたしの学校生活は終わりだよぉ……」