こころが揺れるの、とめられない

-3-



美術準備室の前に到着すると、扉の向こうからは、物音がした。


……もう、きてる……。


わたしは、緊張気味に扉を開く。

その音に反応して、こちらを振り返った三澄くんと、ぱちりと目が合った。


「あの……おつかれさま」


どんな挨拶が正解なのかわからず、迷った挙句に口をついて飛び出したのは、部活で癖づいた、ありきたりな言葉。


「……おつかれ」


三澄くんは、唇の端を少しだけ持ち上げて、応えてくれた。


「準備するから、座って待ってて」

「うん」


そろりと足を踏み入れて、静かに扉を閉めた。

荷物を置いて、椅子に座る。


いよいよほんとに、……三澄くんに描いてもらうんだ。


そわそわと落ち着かない気持ちが、わたしを襲った。

イーゼルを立て、キャンバスをセットする三澄くんを眺めていたら、途端に実感が湧いてきてしまった。

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