こころが揺れるの、とめられない
こころ、ふわふわ

-1-



月曜日と、木曜日。
サッカー部の練習が、休みの日。


夕日が差し込む美術準備室に、キャンバスを滑る筆の音だけが、心地よく響いてる。

窓際のスツールに座るわたしの前髪を、風が優しく撫でていく。

向かいから注がれる視線に、いつまで経っても慣れなくて、緊張する。


落ち着かない気持ちを誤魔化そうと、静かなサッカーグラウンドを眺めがちなわたしに、


『上村さん、こっち向いて』


三澄くんはたまに、そう呼びかけてくる。


大人しく正面に向き直れば、張りのある美しい瞳とぶつかって。
わたしの心臓の動きが、再びぎこちなくなる。


そんな、放課後。


正直、心は休まらないけれど、……今まで傷ついた部分がゆっくりと癒えていく、ような。

――わたしと三澄くんだけの、不思議な時間。


それが何度か繰り返されれば、気づけば残暑は嘘のように姿を消し、過ごしやすく涼しい日々が、わたしたちを迎えていた。

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