ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 冗談みたいな話だけれど、私は朝井様の婚約者になった。

 一年間という条件つきで、私たちはその間、本当の婚約者としてお付き合いをする。

 体を重ねたとはいえ、その場限りの話で終わると思っていたのに、彼は本気だった。

 本当の恋人同士のような甘い夜を過ごしたあくる朝、あらためて契約の話をしたのである。

『君は婚約者としてここで一緒に暮らし、家事をしてくれればいい。生活費は俺が出すし家賃もかからないから、その分貯金もできるだろう? そのほかにお礼として君の弟の学費は俺が負担しよう』

『でも、それでは私がもらいすぎでは』

『いや、無謀なこんな頼みを聞いてくれるのは君しかいない。せめてもの俺の気持ちだ。そうさせてほしいんだ』

 お金のためにというのは正直抵抗があった。心を売るような気がして。

 でも彼に言われたのだ。

『一年とはいえ君は俺の大事な婚約者なんだよ? 悩みなく幸せでいて欲しい』

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