ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 忙しかった年末年始を過ぎた一月の中旬。街も行き交う人々も落ち着きを取り戻している。

 私もようやく肩の力が抜けた。バレンタインが近くなる半月くらいまでは、それほど忙しくない。

 くぐる通用門のドアには、一輪のハナミズキのロゴマークがついている。

 ハナミズキ、フランス語でコルヌイエ。

「お疲れ様です」

 声をかけながら従業員用の廊下を進む。

 ここはホテル『コルヌイエ』。都内の一等地に構える高級ホテルだ。

 私はコルヌイエのレセプショニスト。夕月桜子二十七歳。

 レセプショニストとはレセプションという言葉の通り、お客様をお出迎えして接待するのが仕事だ。普段はフロントにいるが、ランチや夕食時などはレストランの応援にも行くし、頼まれればなんでもする。

 なにしろ夢はコンシェルジュ。すべてに精通していなければいけないから無駄な仕事などないと心に誓い、毎日走り回っている。

 鏡に向かって入念にチェックをする。

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