9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
四章 死に損ないから寵妃へ
セシリアは城から出ると、デズモンドに誘われ、厩に向かった。

彼の護衛の騎士たちのものと思われる馬が、ずらりと繋がれている。

デズモンドは、中でもひときわ大きな黒毛の馬の手綱に触れた。

「忍びの旅だったからな。馬車を用意していなくてすまない。馬は怖いか?」

「いいえ、大丈夫です」

大丈夫どころか、騎馬は得意な方だ。もっとも今回の人生では、まだ乗ったことがないけれど。

デズモンドに優しく手を引かれ、馬にまたがる。

座ったセシリアを背後から抱き込むようにして、デズモンドは手綱を握った。

デズモンドの馬が、ゆっくりと歩き出す。

ふたりを乗せた馬を護衛するように、騎士たちの馬が周囲を取り囲んだ。
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