アラ還でも、恋をしていいですか?

私と夫が住むのは、敷地だけは広い築50年すぎの典型的な日本家屋。かつては母屋と別棟に別れていたけど、渡り廊下で繋がれて二世帯住宅になった。

義両親との同居は結婚後は当たり前のように、私の意志に関係なく行われた。

章には妹が一人いるけど、結婚後は“お客様気分”で、盆正月に帰ってきても何一つ手伝わない。
義母も“聖子ちゃんは子どもと旦那さんの世話で疲れてるからゆっくりしなさい”と、娘には甘かった。

義理の娘の私はとことんこき使われ、夫の章や義妹の聖子が楽しくやってる食卓で、給仕や片付けをする係。ご飯は冷えた白米に漬物だけだった。

“食べられるだけましと思いなさいよ”

義母が私を見る目は、明らかに冷たかった。一流大学を出し一流企業に入った自慢の息子が、どこの馬の骨とわからぬ中卒の田舎臭い小娘を連れてきたのだから。しかも、子どもを産まない……。

昭和50年代、まだ“○○家の跡取り”という考えは根強くて、長男の嫁ならば男の子を産んで当たり前、と思われてた。

初めての妊娠で章の浮気が原因で流産しても、すべて私が悪いことにされていて。

結局、義母は最後の最後まで私を認めず、介護をした私を罵りながら亡くなった。

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