Rain or Shine〜義弟だから諦めたのに、どうしたってあなたを愛してしまう〜
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 シャワーを浴びて部屋に戻ると、恵介が誰かと電話をしているところだった。瑞穂は邪魔をしないようにクローゼットの扉を開け、新しい服を探し始める。

 昨日は山城まで歩いた上、一晩中恵介と愛し合った。そのため体力をかなり奪われ、目を覚ましたのは九時前だった。

 しかしぼんやりとした瑞穂の視界に映ったのは、パソコンを開いて何かを打ち込みながら電話をする恵介の姿だった。

 仕事だろうか……そう思いながらチラッと恵介に目をやる。すると気が付いた恵介がスマホを置き、瑞穂に笑いかけた。

「準備が出来たら朝食を食べに行こう。名古屋といえばモーニングだしね」
「でも……仕事とか大丈夫なの?」

 恵介は瑞穂がシャワーを浴びる前から、かれこれ二十分近く忙しなく何かをしている。

「もうすぐ終わるから大丈夫だよ」

 瑞穂が小さく頷くと、恵介は再びテーブルの方へ戻っていく。

 今日は無理しない方がいいのかな……そう思った時、ハンガーに掛かったワンピースが目に入った。胸元はきちんとしまっていて、裾がフワッとした腰リボンのシャツワンピースだった。瑞穂が好きな爽やかな水色で、恵介はきっとそれを考慮して買ってきてくれたに違いない。

 カーディガンとレギンスを合わせればいけるかな……スカートなんてもう半年は履いてない。痣が見えてしまう不安があり、今はクローゼットの奥に仕舞い込んでしまった。

 元々スカートが好きだった瑞穂は、久しぶりに心が踊る。『履いてもいいんだよ』と恵介に言われたような気がして嬉しくなった。
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